
窓の空流るゝ雲は変れども
来る日過ぐる日病床にふす
夜も長昼も長しと床の身は
なす事もなく今日も暮れにし
四六時を床にしばられ明け暮れに
声なき声で母を恋いけり
爪先の白きしびれに気重うて
そぞろ歩きも引き返しけり
病後なる吾が背を流し
早く出でよと妻は気をもむ
留守宅に淋しく咲ける色と香を
包みて見舞う吾子なればこそ
石こくの去年より待ちし色と香の
今病院の窓の辺にあり
連休の老いたる我に置碁させ
いとう色なき吾が子なりけり
子育ての苦労の甲斐や老いし今
テレビを見つゝつくづくと知る
つかれけん永き看護の妻なれば
吾が点滴の枕辺に伏し寝す
吐血して倒れし吾れに妹おろおろ
なれども吾れは静けく
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