
エメラルドの様に澄んだ碧い海と、透き通る様な大気に浮かぶ綿雲の白さが南国特有のコントラストの面白さを作り灼熱の太陽から私達を守り安息の場所を作って呉れる椰子の林が緑の幕を長く引き連ね風にゆらいでいた様子がつい二三日前の様に思い出されるのに、ここ二ヶ月許り連日連夜の爆撃で、今は無慙に緑の葉を剥ぎ取られ、先の摺り減った竹箒(たかぼうき)を逆さに立て並べた様に何千何万本と云う椰子の林が赤茶けた残骸を一面に拡げている。
大方の兵隊は四五粁離れた森林地帯に移動し海岸線を守る監視哨の兵隊が未だ点々と二三本づつ残っている椰子の木陰に天幕を張ったり、掘立小屋(椰子の葉で屋根を葺いた)を立てて、そこここに三四名づつ残っていた。 |